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24 June. 2016

第24話までの神化年表を公開!!

文:氷川竜介(アニメ特撮研究家)

 第4回で述べたように、日本の超人文化の進化は「怪獣」から大きな影響を受けている。そもそも巨大超人と怪獣とは「対立する概念」ではなかった。それが見えにくくなったのは、ウルトラマン以後「毎回違うモチーフの怪獣が出現し、ヒーローと戦って倒される」という定型が完成したからだ。企画書などで分かるとおり、『ウルトラマン』の立ち上げ時、超人というよりも「最強の怪獣」として設定されていた。

 芸術家・成田亨を中心に完成したウルトラマンのコンセプトは、怪獣がカオス(混沌)なら超人はコスモス(調和)という対立軸を前提にしたものにだった。この明解さが成功要因であり、両者を分離させていったきっかけなのは間違いない。

 同作を制作したのは円谷プロダクションである。「特撮の神様」こと円谷英二の映画『ゴジラ』(54)からの文脈も、新時代の超人ウルトラマンに大きく影を落としている。日本怪獣の始祖ゴジラは、原水爆実験の影響下で生まれた巨大生物だ。先端科学と戦争による恐怖の産物である。そしてゴジラが西欧の「モンスター」と異なる点は、ふたつある。「口から放射能火炎を吐く」という点、そして「その際に背びれが発光する」という2点だ。両者とも「科学のメタファー」であり、「光の芸術・映画ならではの表現」という共通項がある。

 以後、多くの怪獣が熱線や火炎を吐き、眼光や突起などを光らせて登場することになった。手段としてスーツに電飾を内蔵するか、「光学合成」という最新技術を採用するか、いずれにせよ「科学ありき」で実現されていた。科学技術的手法との合一が「科学が産んだ恐怖のメタファー」を強化したのである。

 ウルトラマンもまた、この系譜の中に位置づけられる。眼光は12ボルトの電球で輝き、生命が危機に陥ると消灯する。活動限界を知らせるカラータイマーはピンチで明滅する。「生命=電気の光」なのだ。ウルトラマンが放つ必殺技もスペシウム光線など「光」が中心だ。これはアニメーション作画をオプチカルプリンターという最新設備で合成した「特撮とアニメのハイブリッド」でのある。

 見事なまでにゴジラと因果関係の線で結ばれている。換言すれば「血がつながっている」のである。一見異なるものから共通性を見いだすことで、こうした進化の真髄に迫ることができるのではないだろうか。

第24話までの神化年表を公開!!

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©BONES・會川 昇/コンクリートレボルティオ製作委員会